2026 エシカル賞|ONDO FROM WASTE TO WONDER 陶芸家 / クリエイティブディレクター 谷本 あけみ

賞 エシカル賞/Ethical Award
受賞者 ONDO FROM WASTE TO WONDER 陶芸家 / クリエイティブディレクター 谷本 あけみ(たにもと あけみ)
工芸・美術部門/複合・新領域 立礼卓

作品情報

立礼卓(りゅうれいじょく)

サイズ… W 580 D 550 H 580 (mm)
素材… 家庭の使用済み容器包装プラスチックリサイクル素材
技法… 破砕・洗浄・造粒・型込成形・手加工

伊賀市からスタートした「ONDO FROM WASTE TO WONDER」
その想いをのせたこの流礼卓は、私たちの感性をアップサイクルする作品です。あえて伝統と美意識の行き届いたお茶の世界へ、身近な再生プラスチックを通じて静かに新たな問いかけを投げかけています。
◆ コンセプトと背景 : 家庭ごみという素材に美しい表情を与え、アートへ昇華。「ネガティブ・ビューティー」の視点を、茶道の侘び寂びと掛け合わせ、新たな美学を提示します。
◆ 狙い : 環境配慮を「洗練された美」として提示。手に取る人の先入観をアップデートし、持続可能な世の中への意識改革を牽引(ONDOを取る)します。

GP6エシカル賞

  • GP6エシカル賞

審査委員の講評

堀越英嗣(芝浦工業大学名誉教授 東京藝術大学客員教授 建築家・堀越英嗣ARCHITECT 5 代表)

今回の複合・新領域の応募の中でも極めてユニークな視点の「作品」であるといえよう。和文化という概念の一つとして循環する運動体と捉え、応募頂いたことは、ともすると分かりやすいが狭いステレオタイプ化した概念に陥りがちな和文化の持つ意義を拡張する視点を提案されており、大変意義深い。日本文化を幅広く支えてきている日常的な営みは身の回りにある自然が生み出す素材を生かして大切に継承することによって長く生き続けてきている。建築の分野でも、宮殿や寺院のような特別な「晴れ」のための特別な素材による建築ではなく民家や町家のような日常的建築においては、近傍の山から採れる木材、屋根の藁や茅、畳の井草など里山の自然や農作物のような素材を循環する自然の営みとともに利用してきた歴史である。そのことが逆に現在まで長い間弛まず繋がってきていた和文化の屋台骨を形成してきたと言えるだろう。
この作品はこれまでの民家で利用されてきた循環可能な素材が現代では失われてきていて、それに変わるものとして廃棄物を積極的に日常生活に活かすための提案である。現代の産業が生み出す便利な工業生産物は短期的利益を求めるあまりに自然素材のようにリサイクルする遺伝子が組み込まれておらず、処理を考えない廃棄物となっている。
この作品、提案は、廃棄物へ向かう一方方向の流れを循環に戻すために和文化、特に利休の茶以降に生み出された、「見立て」の視点により、単に洗練された美しさや新しい物では味わえない、すでに使われている井戸茶碗のような古びたもの、ゴツゴツした手触りの楽茶碗のような価値観の見直しを与えたことに倣い、不揃いで、扱いにくい廃棄物の特性を受け入れる視点をもたらすために、そのような質感の茶道具とともに素朴で荘厳性を感じるようなリサイクル素材の立礼式の家具が作り景色を提案していることは、現代における和文化の意義に新しい視点を与えるものであり、エシカル賞に相応しい作品である。

プロフィール

ONDO FROM WASTE TO WONDER 陶芸家、クリエイティブディレクター 谷本 あけみ(たにもと あけみ)

GP6エシカル賞
英国留学後、パリおよびバルセロナに在住。
写真家・関口照生氏のスタジオアシスタントを経てファッションを学ぶ。
その後、スペイン・アルチガス財団の陶工房を訪れたことを契機に作陶の道へ。
現在は伊賀にアトリエを構え、「Bubble of Thoughts」シリーズをはじめとする独自の表現で製作を続ける。
近年は写真表現やアートイベントの企画・プロデュースも手掛けている。

◆受賞コメント
この度は「日本和グランプリ」にて、名誉あるエシカル賞を賜り心より光栄に存じます。
この立礼卓は、伊賀市からスタートしたプロジェクト「ONDO FROM WASTE TO WONDER」の想いをのせ、再生プラスチックを通して見過ごされがちなものに美を見出す「ネガティブ・ビューティー」を表現した作品です。
美意識の極致であるお茶の世界へ問いを投げかけ、見る方の感性をアップサイクルし、世の中の意識をアップデートしたいという挑戦への評価に深く感謝し、今後も持続可能な未来への意識改革を牽引(ONDOを取る)してまいります。最後に、この場を借りて作品設計を支援して下さった三重県の建築家米田雅樹さんに感謝申し上げます。

◆受賞者ホームページ・SNS
Instagram:ondo_from_waste_to_wonder