| 賞 | 優秀賞/Excellent Award |
| 受賞者 | 彫金/金属造形作家 古賀 真弥(こが まさや) |
| 工芸・美術部門/金工 | 風光る |
作品情報
風光る
サイズ… W400 D140 H130 (mm)
素材… 銅、真鍮、銀、洋白、銀メッキ、ウレタン塗料
技法… 金工技法(絞り、打ち出し、透かし、ロウ付け等)、ウレタン塗装
本作は、ツバメが水面をかすめて飛んでいる情景に形を与え、『春の風』を表現しました。
一見すると、自然の一瞬の情景を留めたオブジェのようですが、ツバメ部分は装身具として取り外して身に着けることができます。さらに、水を模した土台は「器」となっており、上面の蓋を開ければ桜の透かしが現れ、季節を活ける花器や香炉としても機能する金属工芸作品となります。
こうした「一見して用途が分からない」仕立てには、内面に豊かな物語を閉じ込める奥ゆかしい和文化の遊び心を重ねました。
伝統的な金工技法による造形に化学反応による着色を施し、現代の塗装技術を掛け合わせることで、金属本来の質感を守りつつ、適切な手入れを重ねながら次世代へ美しさを遺していける、本質的な工芸のあり方を目指しています。

審査委員の講評
三田村有純(日本藝術院会員 東京藝術大学 名誉教授 江戸蒔絵赤塚派十代継承)
華やかの色彩と構成の不思議さに目を奪われる。金属の上に豊かな色彩で彩られた塗料の扱い方が絶妙である。
つばめが水の上を飛ぶ姿を造形し、そのつばめは外して、ブローチにもなる。
蓋を開けると一面に桜の花が透かして抜かれた内蓋があり、内側を見ることができる。
内側にはお香を仕込むことができ、また蓋の部分を取り払うと花器にもなる。
作者が自然界を見つめ、金属素材を扱いながら使い手の夢を広げるような構造を芸術性豊かに仕上げていることは、高く評価されることである。
一つの作品がさまざまな場面で使われ続けていくことは和文化の一つの姿なのかもしれない。
コンセプトを含め記憶に残る秀作である。
プロフィール
彫金/金属造形作家 古賀 真弥(こが まさや)

1988年福岡県生まれ。
2012年東京藝術大学美術学部工芸科彫金専攻卒業。2014年東京藝術大学大学院美術研究科工芸専攻彫金分野修了。
作家活動とともに、東京藝術大学美術学部教育研究助手、専門学校非常勤講師などを経て、2024年より静岡文化芸術大学デザイン学部専任講師として後進の指導に当たる。
現在は静岡県浜松市を拠点に、金属工芸(彫金)の技法を基盤とした制作研究を行い、全国の百貨店やギャラリーを中心に作品を発表している。
◆受賞コメント
この度は特別賞をいただき光栄です。試行錯誤の日々ですが、このように評価いただけたことは今後の大きな励みとなると同時に、身の引き締まる思いです。
金属は美しい装飾としてはもちろん、強靭な構造体としても様々な場面で用いられる繊細で奥深い素材です。彫金という伝統技法から金属工芸の世界に足を踏み入れましたが、触れるほどにその尽きない魅力に惹きつけられています。
この素晴らしい素材と技法の可能性を、微力ながらこれからの未来へ繋いでいくことができれば幸いです。
◆受賞者ホームページ・SNS
HP:http://msykoga.com/
Instagram:https://www.instagram.com/msykoga/



