2026 優秀賞|木工 宮崎 安里(宮崎家具), 日本画 定家亜由子 , 表具 中島 匠(静好堂中島) , 金具 藤川耕生(金属工芸家)螺鈿 服部 一齋(漆芸家), 組紐 有職組紐 道明

賞 優秀賞/Excellent Award
受賞者 木工  宮崎 安里(みやざき あんり)(宮崎家具)
日本画 定家亜由子(さだいえ あゆこ)
表具  中島 匠(なかじま たくみ)(静好堂中島)
金具  藤川耕生(ふじかわ こうせい)(金属工芸家)
螺鈿  服部 一齋(はっとり いっせい)(漆芸家)
組紐  有職組紐 道明(どうみょう)
工芸・美術部門/複合・新領域 桐小棚 ー彩かさねー

作品情報

桐小棚 ー彩かさねー

サイズ… W560 D315 H407(mm)
素材… 桐、絹、日本画材料、銀、組紐、螺鈿
技法… 日本画、表具、金工、組紐、螺鈿、京指物

《桐小棚 ―彩かさね―》は、道具としての家具を超え、美術と工芸を暮らしの中で生かすことを目指した飾り棚です。
かつて、画家が家具や襖、屏風などの意匠に関わり、職人が素材と技術によってそれを受け止めることで、美と生活を結ぶものづくりが行われてきました。本作は、その精神を現代の室礼として受け継ぐ試みです。
日本画を季節に応じて替えられる家具の扉として構成し、表具、金工、組紐、螺鈿、京指物の技術を組み合わせました。それぞれの技術を個別に見せるのではなく、異なる手仕事が響き合い、ひとつの家具として調和することを目指しています。

GP6優秀賞

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審査委員の講評

須田賢司(重要無形文化財「木工芸」保持者(人間国宝) (公社)日本工芸会理事、参与、木竹工部会長 木工藝学林清雅舎主宰)

日本の住空間には本来、furnitureとしての家具が少ない。文机は書院に、収納は押入れに、飾り棚は床の間に、このように建物にビルトインして来たのが日本住宅の特徴と言える。座の暮らしには椅子もいらない。
このような中で鑑賞の対象は床の間などに飾る小工芸品が多くなるが、もう少し大型でそれ自身機能を持つ点においては実用品でありながら鑑賞の対象にもなり得るものに「棚物」がある。正倉院蔵の「赤漆文欟木厨子」を筆頭に、のちの時代には「三棚」と呼ばれた厨子棚、書棚、黒棚の一群があり、比較的小さな棚物を手許において楽しむ習いは和の室礼(しつらい)として魅力がある。
しかし棚物と言えば漆塗りで蒔絵などを施した豪華で華麗なものが多い。もっと控えめで静謐なものがほしい。自然を愛する生き方を反映したものがほしい。作者はきっとそう思ったに違いない。桐材の持つ柔らかく穏やかな印象はその気持ちを表すのにふさわしい。このようにまず材の選択で成功した。木工芸は木の美しさだけではなく、その木の持つ物語とでもいう背景をも取り込むことが必要なのである。
そこにさらに日本画を、日本画そのものとしてではなく、家具の構成要素として取り込み華やかさも醸し出す。この部分は交換用の戸が用意されまるで掛け軸のようだ。また中棚は柱を取り去り組紐で吊ったようにしているが、下部に付いた房部分と相まって強度上の必要を超えて和の雰囲気に仕上がった。手許において楽しみたい逸品である。
桐の棚物は茶道具にも多く、また江戸時代の松江の名工、小林如泥も優品を制作しているが、柔らかい桐はかえって仕事が難しい。本作では柱に銀杏面を取るなど作者は高度な技術を持っていることがわかるが、格調ある銀杏面を用いながら棚板の木端、木口の処理が平凡でもう一工夫があればなお良いのではないだろうか。それは何もゴテゴテと変化を加えることではなく、そこまで神経を使うということである。
錺金具や螺鈿、表具など各分野の専門家が集まって一つの作品に仕上げる方法は工芸制作にとって必須ではあるが現代ではとても難しい。核として京都の老舗和家具店があったからこそ本作は実現したと言える。このような関係性が今後も続くことを切に願いたい。
なお戸の絵は4枚あれば四季を表せなお良かったのでないだろうか。

プロフィール

木工 宮崎 安里(宮崎家具), 日本画 定家亜由子 , 表具 中島 匠(静好堂中島) , 金具 藤川耕生(金属工芸家)螺鈿 服部 一齋(漆芸家), 組紐 有職組紐 道明

  • GP6優秀賞
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    定家亜由子

宮崎木材工業株式会社/宮崎家具。
京都を拠点に、京指物の考え方を基盤とした特注家具・木工造作・内装木工を手がける。木を差し合わせ、素材の性質や納まりを見極めながら形にする木工技術を起点に、住宅、商業施設、宿泊施設、文化施設、官公庁関係施設など、精度と品位が求められる空間の制作に携わる。本作では棚本体の設計・製作と全体構成を担い、日本画、表具、金工、組紐、螺鈿など異なる分野の手仕事を一つの室礼としてまとめた。

◆受賞コメント
このたびは、このような栄誉ある賞をいただき、誠にありがとうございます。
日本画、表具、金工、組紐、螺鈿、木工という異なる分野の作り手が、それぞれの技術を持ち寄り、ひとつの家具として調和させることを目指して製作しました。美術と工芸を鑑賞の対象として切り離すのではなく、季節とともに暮らしの中で使い、楽しむものとして次代へつないでいく。その試みに評価をいただけたことを大変嬉しく思います。製作に携わってくださった皆さまへの感謝とともに、これからも現代の暮らしに響く和文化のあり方を探ってまいります。

◆受賞者ホームページ・SNS
HP:宮崎家具(https://www.miyazakikagu.com/)
HP:定家亜由子(https://www.sadaieayuko.com/)
HP:藤川耕生(https://fujikawakosei.wixsite.com/mysite)

Instagram:宮崎家具(https://www.instagram.com/miyazaki.furniture/)
Instagram:定家亜由子(https://www.instagram.com/ayuko_sadaie/)
Instagram:藤川耕生(https://www.instagram.com/bluewisteria_/)
Instagram:服部一齋(https://www.instagram.com/isseyhattori/)
Instagram:道明(https://www.instagram.com/domyo_kumihimo/)