2026 優秀賞|家具作家 森 明宏

賞 優秀賞/Excellent Award
受賞者 家具作家 森 明宏(もり あきひろ)
空間部門/インテリア ツイストハンガースタンド

作品情報

ツイストハンガースタンド

私は家具の構造を根本から見直し、今までにない構造の作品を考えて作り出しています。その中で細い材料を有効的に使う方法として、角材を途中まで分割し内側に向かって同時に曲げることでねじれた形状を作り出すことを実現しています。今回は和空間に合うようなハンガースタンドに挑戦いたしました。土台と先端部分の十字系の部材は両面剣留めほぞ継を使い四方対象に広がるように見せています。支柱部分は下部を太めに上部は細めに4分割して内側に曲げています。こうすることで広がろうとする力を抑え込んでいますので割れません。塗装は柿渋で染めた後、オイル仕上げをしています。伝統的な剣留めほぞ継と革新的な四分割ねじり曲げ継の融合です。
GP6優秀賞

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審査委員の講評

須田賢司(重要無形文化財「木工芸」保持者 (人間国宝)公社)日本工芸会理事、参与、木竹工部会長 木工藝学林清雅舎主宰)

木材の特性の一つとしてその弾性がある。曲げる力に強い。樹種によってその程度は様々だが中でも檜は弾力性に富む。法隆寺の解体修理の時、瓦を取り除いたところ軒先が30cmも跳ね上がったという話は有名である。 
その檜の弾性をうまく生かして柱の上下を四方に開き、さらにそこに捻じれを加えることで四分割の割れがここから進行しない工夫がなされている。その結果細い柱でありながら上部の荷重がかかる部分を十全に支える構造とすることに成功した。材料の持つ特質と機能がうまく融合している。
四ツ又の柱に対応して上部のハンガー掛け部分と台座は十字形としている。その組手は木材を十字に組合す仕口としては高度な「剣留」を用い、十字の中央部でX字を描く印象的な構造を示している。ハンガー掛け部分を蒲鉾状のふくらみを持たせられたのもこの組み方の結果である。
細い部材を効率的に用い、しかし革新的な分割ねじり曲げと伝統的な剣留を使い強度と美しさの両立がなされた。特に檜の特性から自然に生まれる張りのあるカーブは美しい。和の空間によく合いそうだ。
ただ檜のような針葉樹材の加工は柔らかいだけに刃物の切れ味が大切になる。十分量産化は可能と思われるが、ホゾ加工の精度を上げ、組手部分をいかにきれいに仕上げるかが課題だろう。また分割ねじり曲げには柔らかい檜が向いているが、ハンガー掛け部分はそれでは柔らかすぎて傷が目立つのではないだろうか。この部分の材の選択には一考を要するだろう。
しかしこの分割ねじり曲げの技法を用いたこの形態はフロアースタンドなどにもすぐに応用できるだろうし、今後はさらにこの技法そのものの持つ特性を生かした展開を期待したい。

プロフィール

家具作家 森 明宏(もり あきひろ)

GP6優秀賞森明宏

名古屋芸術大学の技術職員をしながら家具の新しい構造やデザインを研究しています

◆受賞コメント
日本には、かつての偉大なる木工職人たちがいろいろな木組み方法を考案し、建築や家具などに使われてきました。今では金具などで簡単に組んでしまったりしますが、その手間のかかる方法は木だけで強く接合できるだけでなく美的要素を盛り込んだりと感心してしまうものです。それらの方法はすでに完成されてしまっているものですが、そこにない何かを盛り込めないかと日々試行錯誤しておりますが、やっと少し認められたような気がいたします。ありがとうございました。

◆受賞者ホームページ・SNS
HP:https://morikobo.a.la9.jp/index.html
FB:https://www.facebook.com/akihiro.mori.104