2026 優秀賞|陶芸家 井上 英基

賞 優秀賞/Excellent Award
受賞者 陶芸家 井上 英基(いのうえ ひでき)
工芸・美術部門/陶磁 海波の塔

作品情報

海波の塔

サイズ… W460 D460 H710
素材… 陶磁
技法… 轆轤

轆轤成形にこだわり海の「静」と、荒々しい波の「動」、そして天へと向かって伸びていく塔をを表現いたしました。
大きい作品を制作するには轆轤成形では物理的に限界がありますが、繋いで成形するのではなく一つの粘土の塊(30㎏)を一本挽きで成形しております。轆轤の均一な動きから生まれる形と轆轤の回転に逆らい意図的にねじれを加え、さらに芯を取り直し緊張感のある縦の線を成形し、対照的な二つの要素を一つの作品で表現しました。
また、オリジナルの釉薬を用いております。
釉薬を重ね掛けしてできる濃淡で穏やかな海の「静」を、釉薬の流れで荒々しい波の「動」を表現しました。
静と動から生まれる造形の美しさを見ていただけましたら嬉しく思います。

GP6優秀賞

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審査委員の講評

外舘和子(多摩美術大学 教授、工芸史家)

30キロもの粘土を、高度な轆轤技術により、一本で挽き上げた大作で、今回出品された様々な陶芸作品のうちでも、ダントツの迫力を示しています。下方の大海の如きたっぷりとした膨らみから水平な面へ、その中央で豊かな揺らぎを見せた後に、すーっと垂直に伸びる筒状のフォルムは、まさに海面の「静」と波の「動」が一体となった表現であり、タイトルのように、波が「塔」を形成すれば、このような、大胆にして清々しい姿かたちとなるのではないでしょうか。

色調についても、独自の釉薬を研究し、マットなグリーン系の釉薬を主役としながら、ブルーやホワイトなどが程良いアクセントとなり、全体の勇壮な雰囲気を美しくまとめています。

やきものであるがゆえの空ろの空間構造が存分に活かされた作品であり、スケール感のある作者の世界観や自然観が無理なく自然なかたちで伝わってきます。

茨城県で制作する作者・井上英基は、陶芸家を父のもとに生まれ、ドイツで釉薬を研究し、その成果を日本の原材料でさらに探求し、使用しています。日展では2度の特選受賞、日本陶芸展大賞受賞など、既に華やかな受賞歴のある作家ですが、とりわけ今回の作品は、国際的にも通用する日本の陶芸家の確かな力量を示し、陶芸の造形的魅力や可能性を、広く国内外に示していく作家として期待されます。

プロフィール

陶芸家 井上 英基(いのうえ ひでき)
GP6優秀賞

【 現 職 】
国際陶芸アカデミー(IAC)会員
日展会友
現代工芸美術家協会本会員
茨城県美術展覧会副会長
茨城工芸会副会長
茨城県笠間市教育委員

【 略 歴 】
2008年 第47回日本現代工芸美術展新人賞
第23回国民文化祭いばらき2008美術展 茨城県知事賞
2009年 第41回日展初出品
2015年 第23回日本陶芸展「碧彩鉢」大賞・桂宮賜杯
第54回日本現代工芸美術展 現代工芸本会員賞
2017年 JR東日本 豪華寝台列車 TRAIN SUITE四季島の湯呑制作
2018年 秋篠宮同妃両殿下ご来県 献上品制作
2019年 フランス茨城県工芸品展出品(仏・エソンヌ)
英国陶磁器ビエンナーレ出品 笠間焼(英・ストーク・オン・トレント)
2021年 茨城県美術展覧会 板谷波山賞
2023年 第10回日展 特選
2025年 第63回日本現代工芸美術展 NHK会長賞
第118回日展 特選
2026年 笠間市特別功労表彰

◆受賞コメント
この度は、日本和文化グランプリにて優秀賞を賜ることができ誠に光栄に存じます。
私は、伝統技法の一つである轆轤成形でどこまで表現できるかを追求しながら制作しております。
また、釉薬は独自に調合した釉薬を用いております。緑の色合いと、細かな結晶、釉薬の流れによって生まれるグラデーションの美しさにもこだわっております。
形の中にある静と動、そして釉薬が生み出す表情の変化をぜひ楽しんでいただければと思います。
今回この様なご縁を頂き作家活動をより多くの皆様方に知って見ていただけますことを嬉しく思います。

◆受賞者ホームページ・SNS
Instagram:hideki_a_a(Instagram)