| 賞 | 優秀賞/Excellent Award |
| 受賞者 | 陶芸家 増原 嘉央理(ますはら かおり) |
| 工芸・美術部門/陶磁 | 紅白鮮 斜陽 |
作品情報
紅白鮮 斜陽
サイズ… W 355 D 355 H 215(mm)
素材… 陶
技法… 掻き落とし
日本における「紅白」という色は特別に位置付けられており、日本人の文化、信仰、感覚にまで染み込んだ「記憶色」である。
紅白は古くは儀礼(祭礼)、服飾や化粧文化、感性(民俗学におけるハレとケなど)、さらには古代神話にまでつながる深い背景があり、紅白は単なる色の組み合わせではなく、日本人の精神と価値観が凝縮された「文化の縮図」であり、現代において尚「日本らしさ」を最もわかりやすく示す(象徴)色と同時に伝統文化の継承であると考える。

審査委員の講評
外舘和子(多摩美術大学 教授、工芸史家)
端正な轆轤技術により、小さな高台(底)から、口縁に向かって潔い立ち上がりと広がりを示すシャープな形体感のうつわです。
そのシンプルなフォルムにもかかわらず、全体に強い存在感を示しているのは、化粧土と掻き落としの技法により、うつわの内外に高密度でオールオーヴァーに施された、紅白の鮮やかな装飾によるものといえましょう。色彩における赤(紅)と白は、古来より日本では吉祥的なイメージを示し、作品の印象をあでやかで明るいものにしています。
しかも、そのやや厚みを感じさせる細やかな紅白の文様は、うつわの内側と外側において、線で構成する共通性を持たせながらも変化をつけています。外側は全体に下から上へ伸びていくような広がりや方向性を示し、一方うつわの内側は、上から見ると、うつわの底を中心として口縁へ向かい、大輪の花が咲いたかのような文様構成を見せています。複雑な模様ながら一種の規則性を持たせて模様とうつわの形との関係性を築く姿勢は、いわゆる容器としてのうつわではなく、“鑑賞主体のうつわ”という、日本で特に発達した陶芸表現の考え方を象徴的に示しています。
北海道札幌市で制作する作者・増原嘉央理は、国際公募展をはじめ数々の受賞歴ある作家ですが、「伝統工芸」を牽引する日本伝統工芸展においても、“伝統とは革新の連鎖である”という日本人の姿勢を、陶芸において実践してきています。今後、益々、その姿勢を広く全国に、また世界に伝えていく制作が期待されます。
プロフィール
陶芸家 増原 嘉央理(ますはら かおり)

1985 北海道札幌市に生まれる
2008 武蔵野美術大学 造形学部 工芸工業デザイン学科 陶磁専攻 卒業
2010 瀬戸市新世紀工芸館 セラミックコース 修了
現在 (公社)日本工芸会 正会員
<受賞>
2008 武蔵野美術大学卒業制作 陶磁賞
2009 第62回 瀬戸市美術展 奨励賞
めし碗グランプリ展 審査員特別賞
2010 第40回 ながさき陶磁展 インテリア・工芸部門 最優秀賞
めし碗グランプリ展 優秀賞
2012 そば猪口アート公募展 安曇野市教育委員会賞
第3回 帯留コンテスト 審査員賞
めし碗グランプリ展 審査員特別賞
2016 第56回 東日本伝統工芸展 朝日新聞社賞
伊丹国際クラフト展 酒器・酒盃台 審査員賞
日本陶磁協会現代陶芸奨励賞北海道展 現代陶芸奨励賞
2019 第59回 東日本伝統工芸展 奨励賞
第66回 日本伝統工芸展 日本工芸会新人賞
第7回 陶美展 優秀賞(髙島屋賞)
2021 第15回 パラミタ陶芸大賞展 大賞
2022 第118回 有田国際陶磁展 日本経済新聞社賞
伊丹国際クラフト展 酒器・酒盃台 優秀賞(白雪賞)
現在形の陶芸 萩大賞展Ⅵ 大賞
2023 第119回 有田国際陶磁展 有田町長賞
◆受賞コメント
この度は栄えある賞を賜りまして誠にありがとうございます。
これまで日々、試行錯誤を重ねてまいりました本作がこのような賞を賜りました事は制作への何よりの励みとなりました。
この受賞を励みに尚一層、素材と技法、そして自身と作品に真摯に向き合い精進して参りたいと存じますので今後とも変わらぬご指導ご鞭撻を賜りますよう、お願い申し上げます。
ありがとうございました
◆受賞者ホームページ・SNS
HP:https://www.kaori-masuhara.com/
Instagram:https://www.instagram.com/machikoroll_jp

