| 賞 | 優秀賞/Excellent Award |
| 受賞者 | 美術家 黒田 学(くろだ まなぶ) |
| 工芸・美術部門/木工 | 時の形象 |
作品情報
時の形象
サイズ… W 250 D 250 H 340(mm)
素材… 朽木 神代杉 黒柿
永い月日を、風、雨、雪に晒され、朽ちてゆく木々に美を想う。悠々、時は流れる。
今にも土に還りそうな木々に、蓄積された「時間」が在る。漂う時が在る。
その木々を「時の形象」と名付け、いのりながら、ねがいながら、かたちにしてゆきたい。

審査委員の講評
片平秀貴(丸の内ブランドフォーラム代表)
このたびは、日本和文化グランプリ優秀賞、おめでとうございます
作品は、朽木を使った厨子でしょうか。33.5cm×13.5cm×11cmと小ぶりながら、その自然なたたずまいが木の朽ちた色合いと相まって、観る者を魅了します。小さな朽木の立方体に両開きの扉があるだけ、というシンプルさ、マットな濃い灰色(「グレイ」ではなく「灰色」が似合う)と朽木の表面の自然な凹凸。決して何かを主張するわけでない「無」の美がそこにあります。
作者は、「永い月日を、風、雨、雪に晒され、朽ちてゆく木々に美を思う」と応募書類に書いています。その「朽ちてゆく木々」は作者により見事に息を吹き返し、向こう50年、100年、200年と、使い手とともに素敵な時間を過ごすためにスタンバイしているように思えてなりません。私ごとになりますが、私のオフィスでは120年前の「いちい」のチェストを愛用しています。何年経っても劣化することなく見るたびに私に元気と勇気を与えてくれます。
厨子の英訳は「Miniature shrine(小さな神社)」だそうです。おしゃれな仏壇として使うもよし、大切なお宝をしまっておく謎の小箱として使うもよし、家の中で一番小さくて一番大切な宝物入れとしてはこれに勝るものはないかもしれません。「Shrine」とは言い得て妙ですね。使い手を毎日幸せな気分にさせる、そしてその毎日が何年も何十年も続く。黒柿や神代杉といった稀有の木材を使ってかたちと心の美を表象したこの作品が、国内外の「ちょっといい生活」を求める人たちに愛されることは間違いありません。
改めて、作者に「おめでとう!」と「ありがとう!」を申し上げたいです
プロフィール
美術家 黒田 学(くろだ まなぶ)

1976年 富山県上市町生まれ
2005年 独立
北アルプス、剱岳をあおぐ小さな村で
山々や田園のひろがる、縹渺とした風景を生きるものとして
絵を描いたり、木々を削ったり、彫ったり・・・・。
芸においてよくたのしみ、よく游び、よく涙し・・・。
創作の日々を、美を求めて一歩、一歩、歩いてゆきたい。
◆受賞コメント
いつもの散歩道を歩きながら、桜並木の土手にある石のベンチに腰掛けて、届いたメールをたしかめました。
あたり一面にひろがる稲穂は風に揺らいで・・・。爽藾、祝福のようでした。
夕焼けの空は、いっそう、あかるくなりました。
なにかほんとうにあたたかな贈り物をいただいた気もちです。
ありがとうございます。
◆受賞者ホームページ



