| 賞 | 優秀賞/Excellent Award |
| 受賞者 | アーティスト 出口 雄樹(いでぐち ゆうき) |
| 工芸・美術部門/複合・新領域 | 宇宙を写す精神の理想郷 |
作品情報
宇宙を写す精神の理想郷
サイズ… The Lonely Glory (掛け軸)/絵のサイズ 1440×340mm、軸サイズ 2250×490mm , Release (屏風)57.3×168cm
素材… 絹、墨、膠、岩絵具、水干絵具、胡粉
技法… 絹本彩色
伝統的な日本絵画の素材と精神性を現代の思想と交差させ、「過去・現在・未来を地続きに繋ぐ時間と情景」を創出する一組の作品として、「宇宙」をテーマに掛け軸と風炉先屏風を制作した。宇宙を描くことは、私にとって現代の山水画への挑戦である。東洋の絵画史において「山水」とは、単なる現実風景の模写ではない。それは古来、神仙思想と結びつき、人が立ち入ることのできない理想郷や、自らの内宇宙を投影する心象風景として描かれてきた。私は、現代において未だ見ぬ宇宙の深淵とこの古典的思想を重ね合わせ、新たな理想郷としての「現代の山水画」を構築する。基盤となるのは、絹本に墨、膠、胡粉、そして天然の岩絵具を重ねる、千年以上紡がれてきた日本画の伝統技法である。地球が育んだ鉱物で果てしない宇宙を描く行為は、物質と時間をめぐるマクロとミクロの対話であり、古典の超克によって独自の絵画観を象徴する試みである。

審査委員の講評
上杉孝久(上杉子爵家九代目当主)
これらの作品群の表さんとしていることは、作者の作品説明に尽くされていると思う。
まず「宇宙・天体」と、「掛け軸・風炉先屏風」と言う組み合わせに驚かされた。
何よりも宇宙空間に浮かぶ宇宙船や、宇宙服を着用した人物が、より作品への没入感を与えてくれる。作品の中へ自分自身が吸い込まれるような感覚、更には作品の中で自由に動き回れるような不思議な感覚を前にして、しばらく作品の前から動けなかった。
プロフィール
アーティスト 出口 雄樹(いでぐち ゆうき)

1986年福岡県生まれ。
東京藝術大学で日本画を学び、同大学院を修了後、ニューヨークを拠点に活動(2013年〜2019年)。
現在は京都を拠点にスタジオを構え、国内外で精力的に作品を発表しています。
伝統的な日本画の素材や技法・精神性をベースにしながら、現代的な思想や宇宙などの壮大なテーマを交差させた独自の絵画表現を追求しています。
◆受賞コメント
この度、栄誉ある賞を賜り、身に余る光栄と深く感謝申し上げます。私が向き合う日本の伝統とは、決して過去の遺物ではなく、いまなお胸を打つ「生きた感性」です。先人たちの美意識に新たな息吹を吹き込み、手仕事の一瞬に命を宿すこと。それが、私の追い求める表現です。「温故知新」の境地をさらに深く追求し、日本文化が持つ無限の奥行きと気高さを未来へ届けるため、これからも真摯に制作に励んでまいります。
◆受賞者ホームページ
HP:http://ideguchiyuki.com/
Instagram:https://www.instagram.com/yuki_ideguchi/
