| 賞 | きものの森賞/KIMONONOMORI Award |
| 受賞者 | 奥順株式会社 |
| 衣部門/染織 | 石下結城紬 夏結城 |
作品情報
石下結城紬 夏結城
サイズ…W:約390 D:約12500
素材…絹100%
昨今の温暖化の影響もあり単衣仕立での着用が近年増加。「結城縮」というお召風の単衣向き素材も重宝されてきたが更に薄手でサラッとした風合いの新素材を研究。約20年前に真綿を駒撚りにした糸を使った「特撰夏結城」を発表。夏向きの素材として人気を博したが、更なる気温上昇とその早期化、長期化により着物愛好家から「気温に合わせて早い時期から真夏、秋口まで長期間着られ薄物(単衣と夏の時期の兼用)」の需要が高まる。その声を反映するため「特撰夏結城」のモデルチェンジを慣行。研究を開始したが真綿による結城紬らしさと夏でも着られるサラッとした風合いを兼ね備えた生地にたどり着くまでの相当な時間と労力を必要とした。糸の種類や糸の撚り加減、経糸の本数や緯糸の打ち込み加減など、どこにもない風合いの生地を作ろうと多くの試織を繰り返し研究する事数年。結果、経糸は真綿の駒撚糸を約1000本にし、緯糸は大変細い絹駒糸を打ち込み加減を調整しながら絣手合わせ動力機で織り上げる事に成功。真綿の風合いを感じられ、かつ絹の持つシャリ感を兼ね備えたハイブリッドな生地が完成した。昔から庶民の着物、多くの方が気軽に楽しめる着物を作ってきた産地だからこそ、多くの着物好きに負担なく長い期間楽しんでいただきたいとの想いと職人の深い探求心が実を結んだ。

きものの森講評
今回の選考において、私たちが特に高く評価させていただきましたのは、日本のものづくりを未来へつなぐために、伝統を守るだけではなく、時代の変化を見据え、新たな挑戦を続けている姿勢です。
このさんちは、隣接する本場結城紬のさんちと同様、江戸時代には絹織物を生産していました。しかし、環境の変化により、その生産を木綿縞へと転換。その後も、先人から受け継いだ技術を大切にしながら、時代の変化に応じたものづくりを続けてこられました。
そして今回、温暖化に伴う気温上昇の早期化という新たな環境の変化に向き合い、伝統の真綿糸が持つ良さを活かしながら、さらなる工夫を重ねられました。
さらに、緯糸の改良にも取り組み、肌に寄り添う優しさと、心地よいシャリ感を併せ持つ新たな布を生み出されたこと。
それは、着てくださる方を想い、何を残すべきなのか、何を変えるべきなのかを真摯に見つめ、「護るべきものは護り、変えるべきものは変える」という覚悟を持って、未来のものづくりに挑戦されたこと。
これまで培ってきた技術と知恵を大切にしながら、時代の変化に果敢に向き合い、新たなものづくりへと歩みを進められた今回の取り組みは、日本のものづくりを未来へつなぐ、まさに一つの道標となるものだと評価させて頂きました。
(一財)きものの森では、これからも、日本各地で受け継がれてきた技術や文化、そしてそこに携わる方々の想いに、日本のものづくりを未来へつなぐ取り組みを顕彰し、応援させていただきたいと思います。
プロフィール
奥順株式会社
奥順株式会社とは
奥順株式会社は明治40年(1907年)の創業以来、産地製造問屋として結城紬の図案制作、機屋への発注と仕入、流通を担ってきました。原料である糸の確保、反物の最終仕上げである湯通し(糊抜き)も自社で手がけています。また資料館を含む観光施設の運営、ショールをはじめとする新商品の開発など、結城紬を広く伝えるための事業を展開しています。
奥順株式会社の理念
奥順株式会社のは、日本古来の手作りの良さを持つ国の重要無形文化財指定の「結城紬」を世界最高の絹織物として後世に伝承し、創る人々と着る人々の間に立ち、真の美を求め、そこに関わる全ての人の幸せを願い、誇りを持って歩んでいく企業である。
◆受賞コメント
この度は「きものの森賞」にお選びいただき誠にありがとうございます。人類が今まで経験した事のない温暖化の中でも日本には四季があり、寒暖、乾湿を感じられる世界でも類を見ない島国です。日々変化する気候や気温の中で結城紬をいかにストレス無く、楽しんでお召しいただくかを考えて素材開発から行って参りました。織元さんにも長い期間ご協力いただき、できる技術を出し惜しみせず取り組んでいただきました。その努力もあり高評価につながった事は産地全員の「ちから」だと考えております。今後も産地全体で世の中のためにどうお役に立てるのかを考えながらモノづくりに精進して参ります。
◆受賞者ホームページ
HP:https://okujun.co.jp/
Instagram:https://www.instagram.com/okujun_official






