| 賞 | 優秀賞/Excellent Award |
| 受賞者 | 和の響き(富樫祐輔・染野晴美・多田豊一郎・江口哲平) 京都女子大学 前﨑信也研究室(前﨑信也・佐々木壬る・渋谷知瑚・倉本英里奈・利田美音) |
| プロデュース部門/ 和文化振興の企画・支援・プロデュース活動 |
Project 1. エレキ三味線《Lycoris》/Project 2. 沖縄の海を想う青い三線《Echoes of the Sea》 |
作品情報
Project 1. エレキ三味線《Lycoris》/Project 2. 沖縄の海を想う青い三線《Echoes of the Sea》
サイズ…
素材…Project 1. 三味線:紅木・人口皮・アクリル、装飾:朱漆・黒漆・白漆・砥粉・金箔(都市鉱山由来)・螺鈿(アワビ)・京都オパール/Project 2. 三線:モクマオウ・イヌマキ・ヘビ皮(藍染)・ナイロン弦、装飾:紅型・青漆・夜光貝・白化サンゴの粉末・金粉・銀粉
楽器制作
Project1:エレキ三味線《Lycoris》
■ エレキ三味線:三味線かとう
■ 漆芸による装飾:彦十蒔絵(若宮隆志・生田圭・小西紋野・高禎蓮)
■ デザイン:蜷川べに×京都女子大学(高原木綿・田畑 絵梨奈)
■ 企画・運営:和の響き(和楽器バンド)×京都女子大学(川上千乃・中野真緒・岩崎真央・松原ちあき・川向美緒・井澤杏実・中村桃菜)
■ 協力:ユニバーサルミュージック合同会社、京セラ株式会社
Project2:沖縄の海を想う青い三線《Echoes of the Sea》
■ 三線:沖縄県三線製作事業協同組合(渡慶次道政・仲嶺幹・新垣恵) 琉球藍研究所、工房あい染:永吉剛大
■ 漆芸による装飾:彦十蒔絵(若宮隆志・生田圭・明地紀苗・川村瞳・ 高禎蓮)
■ デザイン:京都女子大学(櫻井嘉乃・利田美音・倉本英里奈・佐々木 壬る・渋谷知瑚)
■ 企画・運営:和の響き×京都女子大学(石田沙良・吉岡真央・井口香澄・難波夏梨・遠矢愛実・中西葵)
■ 協力:日本サンゴ礁学会、沖電開発株式会社、日本邦楽器組合連合会
■ スペシャルサポーター:HY
和楽器(邦楽器)は歌舞伎や文楽、舞踊、民謡、お祭りなど多くの無形文化財に欠かすことのできない道具です。しかし、生産数は昭和の半ばから減少を続けており、生産者と演奏者両方の高齢化や、輸入に頼る素材の枯渇により、継続が危ぶまれているという現状があります。
和楽器が他の工芸品と異なるのは、伝統芸能の音を奏でる道具として 「同じ音を出し続ける」ことが最重要であることです。デザイン ・形・素材を変更することは避けられ、時代に合わせて積極的に変わることが難しい。本プロジェクト開始のきっかけは、そんな三味線職人の悩みを聞いた大学生の素直な言葉でした。
「和楽器の未来のためには若い演奏者を増やすしかない……若い演奏者を増やすにはアーティストがかっこいい和楽器を弾くしかない」
この声を受けて始まった「和の響き」プロジェクトが導き出したのは、環境に配慮した素材を使い、日本の漆芸技術を駆使して装飾し、工芸としての楽器と音楽との融合を試みるということです。有名アーティストとコラボレーションすることで、これまで工芸に触れることのなかった人々が、日本の手仕事の美しさに触れる。ひとつひとつの新しい感動が、音の波に乗って社会に希望を生み、日本の伝統音楽の未来を創ることを目指しました。その答えが、前例のない装飾を全面に施しながらも、伝統的な楽器に引けを取らない音を奏でることのできる三味線《Lycoris》 と三線《Echoes of the Sea》です。
作品に関するお問い合わせは 京都女子大学 前﨑信也研究室 075-531-7193 までお願いします。
© Yusuke Suzuki
© 中河原理英(提供:ユニバーサルミュージック)
審査委員の講評
大倉源次郎(能楽小鼓方大倉流十六世宗家)
楽器に描画をする慣習は古代からありました。そこには哲学的な観点、それによる技術開発と様々な業種に影響を与えました。
今回の出品には若い世代にそれを気付かせる良いきっかけになると考えます。
単に音を奏でるものから魂が喜びメッセージが伝わる念いが表現されることが
望まれます。
プロフィール
和の響き(富樫祐輔・染野晴美・多田豊一郎・江口哲平)
京都女子大学 前﨑信也研究室(前﨑信也・佐々木壬る・渋谷知瑚・倉本英里奈・利田美音)

和の響き:”和“の響き。それは、日本人が受け継いできた技術とその時代を生きた人々の流行、そして日本の気候・風土の結合によって生まれた日本独自の響きといえます。 和楽器だけではなく「和」と名の付く様々な日本の文化が生み出す”響き”を入口に、日本文化や伝統工芸の魅力を再発見し、それを日本だけでなく海外にも幅広く届けることを目的として様々なプロジェクトに取り組んでいます。
京都女子大学 前﨑信也研究室:日本の文化コンテンツのプロデュースや発信の手法を実践的なプロジェクトを通して学ぶことを目的としている研究室です。デザインや空間プロデュースを専攻する学生が所属し、産官学の連携プロジェクトを数多く手がけています。「和の響き」プロジェクトには2021年から参加し、三味線《Lycoris》と三線《Echoes of the Sea》のデザインや企画・運営に携わっています。
◆受賞者ホームページ
蜷川べに(和楽器バンド) Lycoris Music Video(YouTube)
https://youtu.be/hlkCZPtnOwU?si=kGXSBbLU2Rs23aUW
HY「そこにあるべきではないもの」× 和の響き Special Movie(YouTube)
https://youtu.be/buUs_Hm32iM?si=vKENqiyuB2-JdCHt
◆受賞コメント
三味線や三線のような楽器は伝統的な音楽や芸能のための「道具」として扱われてきた歴史があり、楽器が工芸作品として評価をされる機会はとても少ないという現状があります。今回、プロジェクトでの受賞とはいえ、優れた工芸品と同じ場に参加し、賞までいただけたことを関係者一同とても嬉しく思っています。楽器の制作や発信では本当に多くの方々にご支援・ご協力をいただきました。「和の響き」では今後も学生と一緒に邦楽器の未来を創る取り組みを進めていきますので応援をよろしくお願いします。