2025優秀賞|田村七宝工芸5代目 七宝作家 田村有希・雲母描画堂 日本画家 友田恵梨子

優秀賞/Excellent Award  
受賞者 田村七宝工芸5代目 七宝作家 田村有希・雲母描画堂 日本画家 友田恵梨子
工芸・美術部門/七宝 帯に咲く、一服の絵 ー 日本画と七宝の帯留

作品情報

帯に咲く、一服の絵 ー 日本画と七宝の帯留

サイズ…<帯留>W42mm・D32mm・H8mm <桐箱>W85mm・D85mm・H35mm
素材…<帯留>クリスタルガラス・純銀・銅 <桐箱>アクリル

手にした時、身につけた時、「鑑賞」とは異なる愛で方が生まれます。
日本画家 友田恵梨子としての自身の作品と伝統工芸が融合することで、芸術をより身近に感じていただけたら。
互いの技術や感性を尊重し合いながら生み出せる逸品をお届けできたら。
そんな思いに七宝作家 田村有紀が応えるかたちで作品が生まれました。
七宝焼という日本の伝統工芸で、和装という日本の伝統衣装に花を添えて。
小さな帯留に込められた世界の広がりを、多くの方にお楽しみいただけたら幸いです。

  • GP5優秀賞
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審査委員の講評

外舘和子(多摩美術大学 教授、工芸史家)

植物などをモチーフにした有線七宝の帯留と、その帯留のモチーフと関係づけられた日本画が描かれた箱とがそれぞれセットになっているシリーズです。例えば、箱の蓋の上面に蓮のつぼみが描かれ、蓋を開けると、蓮が花開いた姿が七宝で表現されています。あるいは、蝶の羽の模様の一部がクローズアップされて描かれた箱を開けると、蝶の全体像が現れる、といった具合です。帯留単独でも楽しめますが、それを入れておく箱に一工夫することで、やはり蓋を開け、取り出す行為そのものにも楽しさが溢れる作品です。
有線七宝は、より大きな器や花器などにも用いられる技術ですが、帯留という小さなアイテムに生かしていること、帯留を収めておく箱とのコンビネーションに注目した点に、それを受け取る人への作者の想いがうかがわれます。
帯留は、着物を着る上でも、最終的に和装のカギとなるアクセサリーでもあり、着物を着る楽しみを倍増させる効果もあるでしょう。
工芸作品そのものだけでなく、それを収める箱にも特別の配慮をする日本人の「箱文化」を現代的な手法で実践する作者の姿勢は、工芸の魅力を拡張していくことが期待されます。

 

プロフィール

田村七宝工芸5代目 七宝作家 田村有希・雲母描画堂 日本画家 友田恵梨子

【田村 有紀】
GP5優秀賞
2008年/武蔵野美術大学 造形学部建築学科 卒業/「COTTON七宝花瓶」日本七宝作家協会展 入選
2015年/「エビフライ七宝髪留め」JAPAN POP CULTURE AWARD 入賞
2018年/「葉脈文様七宝額」あま市教育委員会 教育長賞 受賞
2019年/Beauty Japanコンテスト グランプリ/徳川美術館にてグループ展
2020年/松坂屋名古屋本店にて個展『cutting-edge』開催
2021年/全国伝統工芸公募展 入選(国立美術館展示)/職人グループ「凛九」として日本和文化グランプリ 特別賞 受賞
2022年/「孔雀文様七宝宝石箱」全国公募展 入選/グループ展「ヒカリサク」
2023年/MUFG工芸プロジェクト選出/「満ちる 七宝棗」議会議長賞 受賞/ディズニー&ピクサー映画『マイ・エレメント』七宝ビジュアル制作
2025年/「Prizum Shift」日本作家協会展入選・展示
2025年/「雀」工芸都市高岡クラフト展にて共同作品で入選・展示
その他/講演、企業コラボレーション、個展多数開催

【友田 恵梨子】
GP5優秀賞
2013年/東京藝術大学美術学部デザイン科 卒業
2019年/神戸アートマルシェ・ART FAIR ASIA FUKUOKA 出品/野口聡一宇宙飛行士に作品寄贈
2020年/MITSUKOSHI×東京藝術大学 夏の芸術祭2020 参加/名古屋栄三越 二人展(〜2023年まで毎年開催)
2021年/旅館「やど紫苑亭」作品40点収蔵/東武百貨店池袋店 個展/青谷和紙工房「万葉に乞う」企画展開催
2022年/因幡万葉歴史館「万葉に乞う」企画展開催
2023年/松坂屋上野店 個展
2024年/東武百貨店船橋店 個展
2025年/東武百貨店船橋店 個展
屋号「雲母描画堂」
その他/個展・企画展多数開催

受賞者ホームページ
田村HP:https://tamura-shippo.com
田村Instagram:https://www.instagram.com/tamurayuuki_/
友田HP:https://tomodaeriko.studio.site/
友田Instagram:https://www.instagram.com/eriko_tomoda/

受賞コメント
日本画の一枚を起点に、伝統工芸・七宝で帯留めへ。
クラシカルとモダンを往復し、異分野が交差する“振れ幅”の面白さをかたちに。
多くの方に見ていただき評価いただけたことをうれしく思います。
絵と工芸が響き合い往復し生まれる新しい表現の広がりを示しました。(田村)

多種多様な作り手の方と共に、伝統とストーリーあるものを生み出したいとの思いから
「描くことで つながり ひろがる」をコンセプトに作品展開を始めました。
本作はその第一作目です。私の日本画作品を七宝焼として昇華してくれた田村有紀さん、
そして高くご評価いただきました審査員の皆様に感謝申し上げます。(友田)