2025 JCPP賞|まぐたっち 木製品作家 原田陽輔

JCPP賞/JCPP Award  
受賞者 まぐたっち 木製品作家 原田陽輔
プロデュース部門/和文化振興の企画・支援・プロデュース活動 漆文化を未来につなぐ為の小規模植栽活動                                          

活動情報

漆文化を未来につなぐ為の小規模植栽活動

耕作放棄地を活用して漆の植栽を始めました。小さくても自分にできる事をコツコツと積み上げようという
思いで植栽活動を始めました。茨城県奥久慈の優良種の分根苗を分けて頂き、12年掛けて育てた漆の木から
2kg以上の漆を採取しました。個人レベルでもできる植樹の取り組み事例を作る事ができました。

GP5JCPP賞

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審査委員の講評

JCPP理事会

本作品は、漆掻きの技術を学び、地域の地主との縁を得て始まった漆の植栽活動を軸に、木工と植栽の両面から漆文化の未来を見据えた取り組みです。
2010年より地元有志と共に手つかずの山林を活用し、漆の木を育てる活動を継続。2022年には漆掻きが実現し、10本の木から2.4kgの漆を採取する成果を挙げました。
さらに、技術書の作成や他者への技術支援にも取り組み、地域文化の継承と普及に貢献しています。

評価ポイントとして特筆すべきは、①地域資源の活用による持続可能な文化振興、②実務と研究の両立による技術の深化、③他者への支援を通じた知識の共有とコミュニティ形成です。
漆という伝統素材に対し、単なる保存ではなく「育てる」という視点を持ち込んだ点は、文化継承の新たなモデルとして高く評価されます。

文化的・芸術的意義としては、漆器の美しさや技術の奥深さを支える「漆そのもの」に光を当てた点が挙げられます。
漆文化は器や工芸品の表現に留まらず、自然との共生や時間をかけた育成の哲学を内包しています。
本活動は、その根幹にある「漆の木を育てる」という営みを通じて、和文化の本質に迫るものです。

今後への期待としては、実生による直根苗の育成という新たな挑戦に加え、広葉樹の植栽や木製品製作との連携による総合的な木工文化の発展が挙げられます。
また、技術書の普及やSNSを通じた情報発信により、若い世代や他地域への波及効果も期待されます。
漆文化の未来を見据えたこの活動が、全国各地に広がり、和文化の根をより深く、広く張っていくことを願ってやみません。

プロフィール

まぐたっち 木製品作家 原田陽輔

GP5JCPP賞
日本うるし掻き技術保存会伝承者養成事業を修了後、2010年に漆の植樹開始。2014年に木製品の
製作活動を始めました。2022年には自分たちで育てた漆の木から漆の採取をする事ができました。
受賞者ホームページ
Instagram:https://www.instagram.com/um_laiki/
受賞コメント
初めてのグランプリ挑戦でまさかの受賞に身が引き締まる思いです。10年以上の歳月がかかる漆の植栽は
たくさんの労力が必要なだけでなく、大切なポイントがたくさんあります。漆植栽の先生からは
「とても良く育っている」との評価を頂く事ができました。今は土壌や森作りの事を勉強しながら、
今までの経験をまとめた漆植栽の技術レポートを作成しております。
今後はノウハウを提供しながら植樹仲間を増やし、漆文化を盛り上げて行きたいと思います。