2025 ユナイテッドアローズ賞| 有限会社 森工芸 ツキ板貼り職人 森寛之

ユナイテッドアローズ賞/UNITED ARROWS Award
受賞者 有限会社 森工芸 ツキ板貼り職人 森寛之
工芸・美術部門/木工 RAYS PLATE 藍漆

作品情報

RAYS PLATE 藍漆

サイズ…W:360 D:360 H:12(mm)
素材…ホワイトシカモア突板、藍漆

RAYS PLATE 藍漆(Ai-Urushi)は、ツキ板の連続した木目を放射状に貼り合わせる独自の技法「光線貼り」と、
徳島県産の藍と漆を掛け合わせた仕上げ「藍漆」によって生まれた作品です。木が光の角度で色を変える性質を活かし、見る角度によって豊かな陰影と立体感が現れます。伝統素材を使いながらも、現代のリソースと独自技術を組み合わせることで、日本の美意識を日常に溶け込ませる新たな木工表現を目指しています。

GP5ユナイテッドアローズ賞

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審査委員の講評

田村麻衣子(株式会社ユナイテッドアローズ TABAYA United Arrows ブランドディレクター)

本作品は、日本の伝統素材である「漆」と徳島県産の「藍」に
木工技法「光線貼り」による独自の模様を組み合わせた、きわめて完成度の高い作品です。
光線貼りによって生まれる木目の連続性は
自然が刻んだ時間と秩序をそのまま作品に取り込まれており素材の生命感を思わせます。
漆の深みある光沢は藍の清澄な色調を包み込み
見る角度によって木目がわずかに見え方に変化を与え、時間や光の移ろいを感じます。
藍の穏やかで透明感のある発色は、木目の自然な流れを損なうことなく引き立て
全体に静謐かつ上質な印象を与えています。
技術面では「光線貼り」による木目合わせは高い精度を要する工程であり
そこに漆と藍を調和させる高度な仕上げは職人方々の緻密な計画性と感性の融合がなされている様に感じます。
総じて本作品は「技」「素材」「感性」が高度に表現された美しい作品であるとともに
私たちのお客様の生活に寄り添う姿が想像できる商品として、今回選出させていただきました。

プロフィール

有限会社 森工芸 ツキ板貼り職人 森寛之

GP5ユナイテッドアローズ賞
ツキ板貼りを専門とする木工メーカー「森工芸」の三代目。1953年に創業し、建築・家具・クラフトの分野で木
の美しさを活かす製品づくりを行ってきました。伝統を継承しつつ、現代の素材や技術を柔軟に取り入れながら、独自の表現方法を開発。藍漆や光線貼りなど、新たな技法を用いて、現代の暮らしに寄り添う和の工芸を提案しています。
受賞者ホームページ
HP:https://mori-kougei.com/
Instagram:https://www.instagram.com/morikougei/
受賞コメント
このたびは名誉ある賞を頂き、大変光栄に思います。
私たちは、ツキ板貼りという専門的な木工技術を軸に、伝統素材と現代のリソースを融合させた新たな表現を日々模索しています。
本作品は、徳島の藍と漆を掛け合わせた「藍漆」、そして木目の連続性を活かした「光線貼り」によって、日本の素材美と技術を現代のライフスタイルへと繋げることを目指しました。
今回の受賞を励みに、これからも木と共にある暮らしの価値を発信し続けていきたいと思います。