賞 | きものの森賞/KIMONONOMORI Award |
受賞者 | 新田源太郎 |
受賞作品 | 初明かり |
作品情報
初明かり
サイズ…W1350 H1700(mm)
素材…絹100%
朝陽がのぼる情景に輝ける未来を重ねて
審査委員の講評
三田村有純(東京藝術大学名誉教授 日展理事 江戸蒔絵10代継承)
色彩の重なりが無条件で美しい。朝になり日が昇り、空や雲、山々の織りなす自然の佇まいは張り詰めた静寂の中に、明日への未来を感じさせるエネルギーに満ち溢れている。上杉家伝承の米沢織は250年を超える伝統を持ち、確かな技術が今も、伝統産業の芸術領域として受け継がれていることは賞賛に値する。
養蚕による絹糸の確保、そして染料素材として紅花、藍、黄檗、矢車、ログウッド、ザクロ、栗イガ、梅子などを育てて、天然であるからできる優しい色合いの糸を作り、縦糸、横糸を新たな織り方を工夫して、品格のある着物として作り上げる。完成に至るまでは膨大な時間がかかり、作者の制作に対する哲学と情念がなせる作品であり、和文化の今を象徴する秀作である。
プロフィール
新田源太郎
昭和55年/機屋五代目として米沢市に生まれる
平成15年/京都老舗帯屋へ入社
平成17年/よねざわ新田に入社
平成29年/よねざわ新田 五代目代表就任
現在: 日本工芸会正会員 / 伝統工芸士
賞暦
平成20年/ 全国伝統的工芸品公募展 入選
平成21年~令和6年/ 第56回日本伝統工芸展より15回入選
平成23年/ 第58回日本伝統工芸展「 日本工芸会新人賞 」
平成24年/ 米沢市芸術文化協会 「 協会賞 」
公益社団法人 日本工芸会「 正会員 認定 」
平成26年/ 第19回MOA岡田茂吉賞「 新人賞 」
平成29年/ 2017年度 LEXUS NEW TAKUMI PROJECT 「 匠 認定 」
第51回日本伝統工芸染織展「 東京都教育委員会賞 」
令和元年/ 第59回 東日本伝統工芸展 「 奨励賞 」
令和3年/ 米沢織物新作求評会 「 経済産業大臣賞 」
令和5年/ 米沢織物新作求評会 「 グランプリ 」
その他多数
◆受賞者ホームページ
https://nitta-yonezawa.com
instagram
https://www.instagram.com/yonezawa_nitta
◆受賞コメント
このたびは、「きものの森賞」にお選びいただきましたこと、大変嬉しく感謝申し上げます。この作品は、「元旦、山間から差し込み、空に広がる曙光」を表現しました。日々、思うことは「私は、何が出来るのだろうか」。モノづくりなど悩みや葛藤がつきまといます。その考えのよりどころは歴史と伝統です。先人たちから受け継いだ精神性や技術を錬磨し、新しい表現に挑戦し続けることが未来へと向かいます。今後も文化発展に寄与し、心豊かにする作品を創造していくことが伝統につながることと信じ、一層モノづくり精進して参りたいと思います。