賞 | 奨励賞/Incentive Award |
受賞者 | 小西由紀 |
受賞作品 | Kimma Sound Box for Smartphone “Torus II” |
作品情報
Kimma Sound Box for Smartphone “Torus II”
サイズ…W123 D102 H56(mm)
素材…檜、檜ベニヤ、竹、クローム、クッション材、漆、色漆、LG
スマートフォンから流れてくる音に、時に物足りなさや無機質な冷たさを感じたことはありませんか?
このサウンドボックス(音響箱)は、電気の力を使わないので、スピーカーとは違い音を大きく拡張する機能はありません。スマートフォンの音をほんの少し、ふんわりと優しく響かせるだけの、アナログな道具です。
ですが、このささやかな機能と、漆の持つ独特の滑らかで温かな質感が、デジタル社会での小さな安らぎや癒やしになれば良いなと思い、この作品を作りました。
タイトルの“Torus” は「円環状の」という意味を表す言葉で、上面の蒟醤のデザインと合わせて、音が響き渡る様子をイメージしています。漆を通じて響く音を、使う人に味わってもらえたら嬉しいです。
サウンドボックスとしてはもちろんですが、充電しながら使えるスマートフォンスタンドとしてもご利用いただけます。
審査委員の講評
秋元梢(モデル)
派手さはないが、この賞にぴったりな作品が出てきたと思った。
技術が発達していく中で、機械ではなく、元からある物にそっと力を添えて、良く伝える事ができるなんて、なんて贅沢なのだろうと思いました。
主役ではなく脇役、縁の下の力持ち、日本人の粋な心のような作品だと思いました。
機械はより便利にしてくれるけど、無機質さや、重厚感が時には過剰であると感じることが多々あり、自分のテリトリーに取り入れるか否から悩む事も。
適材適所という言葉があるように、空間に合う物があって欲しいと思うことが多いのですが、
このTorus IIは、旅館や、和の空間に違和感なく溶け込み、尚且つ生活の質を高めてくれる、そんな期待ができました。
漆を介して聴く音色などんな物か、ぜひ体験していただきたいと思います。
便利な世の中で忘れてしまいがちな、アナログの良さを改めて感じさせてくれる作品。
プロフィール
小西由紀
滋賀県出身。
大学卒業後は東京でweb デザイナーとして働く。
形に残るものづくりをしたいと思い、
一念発起して漆を学ぶために香川県へ移住。
基礎から香川漆芸を学び、
現在は香川県漆芸研究所(研究員課程)に在籍しながら
駆け出しの漆芸作家として活動中。
竹や木や布や和紙など
素材の風合いを活かした作品づくりと、
蒟醤(きんま)による表現を追求しながら
自然の息吹を感じ、
使う人が自由に想像を膨らませて味わえる作品を
目指している。
◆受賞コメント
この度は奨励賞をいただき、とても驚きました。
漆芸作家として人よりもかなり遅いスタートを切り、少しずつですが迷い悩みながらも前へ進んでいる日々の中で、このような賞をいただけたことはとても光栄で大きな励みとなります。
漆という素材の魅力を多くの人に知ってもらえるように、また小西由紀という作家を応援してもらえるように、これからも謙虚に大胆に日々精進してまいります。
この度は本当にありがとうございました。