2025優秀賞|陶芸家 渡辺国夫

優秀賞/Excellent Award  
受賞者 陶芸家 渡辺国夫
工芸・美術部門/陶磁 積奏彩幾何文鉢

作品情報

積奏彩幾何文鉢

サイズ…W 464 D 464 H 179(mm)
素材…磁土

器の形に沿って幾何学⽂様を描き、⾊を施しては焼成を繰り返すことで、⾊が幾重にも重なり、深みと奥⾏きのある表現が⽣まれます。鉢の中⼼から外側へと広がる複雑な線と⾊彩は、まるで万華鏡のような神秘的な美しさを感じさせます。

GP5優秀賞

  • GP5優秀賞
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審査委員の講評

三田村有純(東京藝術大学名誉教授 日展理事 江戸蒔絵10代継承)

約50センチの上部に広がる大鉢である。磁土で轆轤造形された形は薄造りであり、形体だけでも天空に導かれる動きを持つ優品である。その上に内外ともに規則的な幾何学模様が描かれている。二次曲面に正確に大きさを変えながら描いていく技量は作者の天性である。色を施しては焼成を繰り返していく工程を経た作品が醸し出す表現は無条件で美しい。特に内側を覗くと、万華鏡の中に映り込むキラキラと煌めいている様を彷彿とさせる表情は魅力的である。
 

プロフィール

陶芸家 渡辺国夫

GP5優秀賞
1967年  山梨県富士吉田市生まれ
1996年  東京藝術大学大学院美術研究科陶芸専攻修了
2006年  山梨県山中湖村に工房設立
現  在  (公社) 日本工芸会正会員 日本陶芸美術協会会員
<受賞歴>
1999年  東海伝統工芸展「奨励賞」(同、2000年中日賞)
2010年  おおたき北海道陶芸展「大賞・北海道知事賞」(同、’09年金賞)
2011年  伝統工芸陶芸部会展「日本工芸会賞」
2012年  茶の湯の現代 -用と形- 「奨励賞」(菊池寛実記念 智美術館)
2016年  テーブルウェアフェスティバル「優良賞」 陶美展「奨励賞」  
2023年  萩大賞展Ⅵ「佳作」(同、’16年佳作 ’19年審査員特別賞)
     現代茶陶展「TOKI織部奨励賞」 (同、’18 TOKI織部奨励賞)
2024年  第11回陶美展「特別賞 十四代柿右衛門記念賞」受賞  有田国際陶磁展「朝日新聞社賞」受賞
受賞者ホームページ

受賞コメント
このたびは栄えある賞を頂き、心より感謝申し上げます。
自分の表現を評価していただけたことは大変嬉しく、身の引き締まる思いです。
上絵技法にこだわりつつ、色の重なりにより生まれる表情を大切に制作しています。日常の中で、ふと目にした時に心惹かれる、凜とした存在感を感じていただけるような作品を目指しています。
この受賞を新たな糧として、これからも感性を磨き、見る人の心に残る作品づくりに真摯に取り組んでまいります。