2025 学生最優秀賞|佐賀県立有田工業高等学校 セラミック科3年 小林知史

学生最優秀賞/Best student Award
受賞者 佐賀県立有田工業高等学校 セラミック科3年 小林知史
学生:工芸・美術部門/陶磁 新緑

作品情報

新緑

サイズ…W 29cm D 52cm H 43cm
素材…陶器

この作品は伝統的な文様(麻の葉、毘沙門亀甲、矢絣)に連続性の美しさを感じたので文様の種類や大きさを変えて作品に組込みたいと思い制作しました。作品は帯で包み込むような形にして帯の模様に伝統的な文様を彫りました。釉薬は作品の凹凸を活かすために織部釉をかけました。織部釉の緑色が夏の始まりを感じさせたので新緑という題名を付けました。

GP5学生賞

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審査委員の講評

秋元雄史(東京藝術大学名誉教授 美術評論家)

作者には怒られそうだが、最初に見たときには畑に生えている白菜を連想してしまったのだが、タイトルをみたら「新緑」とあり、全く間違っていたわけではない、植物の生命感や上に伸びる力感を表現した作品なのだなあと感心した。作者の魅力は、のびのびした表現力だろう。当初の造形的なきっかけは「帯」であったようで、帯で包み込むような形態を表現したいというところから始まったようだ。私が白菜と見誤ったのは、帯一つ一つが並んで作り出す斜め上方へと伸びる形態なのだが、その中には帯で使用される伝統紋様が嵌め込まれており、麻の葉や亀甲紋様などがあり、工夫の跡が見て取れる。技法を見たら「ひもづくり」とあり、なかなか手の込んだ造形をしていったのだなあと感心した。帯が重なり、うねるように上方に伸びていく形は生命感を感じさせる。緑の織部釉が若草のように浅いというところが新緑の表現なのだろう。形態にいろいろな文様を持ち込んでこだわったように、釉薬の色ものもうひと工夫があってもよかったのではないか思うのは贅沢な要望なのであろうが、そういうことを言いたくなるほど、表現力豊かな若い才能である。まだまだ先が見たいと思わせる。
本人の弁にもあるよう自分のイメージを素直に形にしていくところがいい。
 

プロフィール

佐賀県立有田工業高等学校 セラミック科3年 小林知史

GP5学生賞
<受賞歴>
2023年 第105回佐賀美術協会展 佳作賞
第15回美術工芸甲子園 優秀賞
2024年 第36回佐賀県高等学校総合文化祭 美術工芸部門 特選
2025年 第107回佐賀美術協会展 青木龍山賞
第49回全国総合文化祭 美術・工芸部門 出品
第37回佐賀県高等学校総合文化祭 美術工芸部門 特選
受賞者ホームページ

受賞コメント
この度は学生賞を頂き、誠に光栄に思います。私は現在、連続というものをテーマに作品を制作しております。その中で文様の連続性が美しいと感じたため、どうにかしてこれらを作品に落とし込めないかと思い、制作するに至りました。この作品には多くの時間を使い、多くの手間をかけました。その過程で作品に入った思いが皆さんに通じたのかなと思っております。これからもより良い作品を作れるように日々精進していきたいです。